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【311摂待の奇跡】摂待消防団の命を救った巨大岩

生き方

【311摂待の奇跡】摂待消防団の命を救った岩

東日本大震災から今年で13年。その日、摂待消防団の命を救った巨大岩の話です。

見た感じ、なんのへんてつも無い普通の大きな岩です。高さ7m位、摂待では黒磯(くろいそ)と呼ばれています。

その日8名の消防団は大津波警報の発令とともに、海岸近くにある水門に行っていました。停電で動かなくなった水門のバルブを手動でしめるためです。

私は、遠隔操作室のカメラで確認作業をしていました。カメラ・マイクがあり離れた水門の状態も安全に確認できました。

普段はしない手動操作で、なんとか水門も無事閉まりました。私も一応カメラで水門が閉まった事を確認。水門作業の団員も、皆ひと息ついて海の様子を見ていました。

この時点で全員、津波の高さは3mだと思っていました。

巨大岩
写真:水門付近から見た黒磯岩(赤マル内)

岩が突然消える!!

水門の高台から海を眺めていると突然、高さ7mの黒磯の岩が見えなくなった。善ちゃんが大声で叫びました。

「みんな逃げろー」

正確には記憶してませんが、水門通路から軽トラ、ポンプ自動車、軽トラ、軽トラの順序で計4台駐車していました。皆大急ぎで車に乗り込み、次々に逃げ出しました。

逃げる途中、逆方向から田老分署員(消防署)がやってくる

止まって教える余裕はありません。もう後ろから水門を突破した波が追いついてきます。ジェスチャーで波が来てるって知らせました。

証言では川沿いから逆流してくる津波とほぼ並走する感じだったと聞きました。

引き返す余裕はありません。驚いた二人の分署員もその場に車を乗り捨て、道路沿いの山に逃げ込みます。

すぐ道路沿いに山があったというのも奇跡でした。

その時、一人操作室に残っていた私は皆流されてしまったと思っていました。
遠隔操作のカメラから、「すでに閉まった高さ15mの水門」の隙間から水しぶきが「ぶしゅっ」と弾きでたのを見たからです。その後、画面は白黒になりました。

無事帰ってきた分団員の「真っ青」な表情を見て、事態の深刻さを知りました。

奇跡1 たまたま、善ちゃんが水没した黒磯岩の異変にきずいた事
奇跡2 デカイ消防車を前向きに駐車していた事(通路が狭くバック間に合わない)
奇跡3 分署員もおかげで助かった事
奇跡4 逃げ込む山がすぐ近くにあったこと

この黒磯の巨大岩がなければ摂待の「復興も未来」も無かったかも・・・しれません。